明治安田生命 presents 小田和正コンサート「その日が来るまで」

2011/02/21

TOWER....Free Paper

小田和正
     Jun.05. NO.191
     TOWER....Free Paper TEXT:小貫信昭


◆世代を越えて大ヒットとなった【自己ベスト】以来、オリジナル・アルバムとして【個人主義】から5年ぶりとなるニュー・アルバムを遂にリリース!
CM曲や番組主題歌として発表されていたにも関わらず、商品としては未発売だった楽曲や書き下ろしの新曲などを全11曲。現在の小田和正がここにある。

そうかな






小貫ロング・セラーを続けた【自己ベスト】から3年。
オリジナル・アルバムとしては【個人主義】から数えて5年の歳月を経て、小田和正のニュー・アルバム【そうかな】がリリースされる。
でもこの作品、【個人主義】を制作した際、すでに<タイトルは決まっていた>のだとか・・・。
小田【もともと浮かんだのは<相対性の彼方>って言葉なんだけど、難しそう、とか思われるといけないし、
拒否反応が起こらないためにも、『そうかな』、とね(笑)。
でも、効率はよかったね。曲をひとつひとつ作っていくといっても、それらは、ゆくゆくアルバムなるわけで、だからその都度そのタイトルを思い浮かべて、そこに引き寄せながらやっていった。
そうすれば<これはこのアルバムにそぐわない>なんて曲は作らないわけだから。でも、だったら最初からコンセプト・アルバムを、ということも考えたんだけどね】
小貫では、アルバムに<そぐう>楽曲というのは、どういうものだったのだろう。
小田【普遍的、というようなことも考えはしたけどね。
それは言葉の上だけの概念だとも思いつつ、でもみんな、文学でもなんでも、知らないうちにそういうところに向かうから。
ただ、途中からこの言葉はタブーになっていった。
ホントにそんなものはあるのだろうか、とね。
結局、努力してそこに限りなく近付こうとして、<力及ばず>なのが人間なんじゃないのか?そう思ったし】 
小貫<相対性の彼方>という言葉からは、そんなニュアンスを受け取っておくのがよさそうだ。
となると、『そうかな』というタイトルが、どういう性質のものなのかも解る。
すなわちそれは、今現在のアーティスト・小田和正にとっての、音楽に対する<境地>のようなものだろう。
それとは別に、アルバムを聴き通して印象的だったのは<生きている実感>を、鮮やかに切り取った作品が多い、ということ。
最新シングル“たしかなこと”なら、ふと、雨上がりの空を見上げた主人公が、その何気ないことで心の憂さを晴らし明日への勇気を得る。
新たに書き下ろした“Re”で言うと、ふと届いた短いメールによって、下向きの気持ちが上向いて、まわりの景色すら違って輝きだす。
これらの曲は、表面的な言葉を飾った<励ましソング>などではない。ベースとなるのは、もっと人生を有意義にしたいと願い続ける、小田の人生観そのものだ。
ところで本作には2種類の作品が含まれる。
既に何らかの形で発表されてきたもの(とはいえその大半は未CD化のままだったが・・・)と、このタイミングに書き下ろされた新曲である。 
小田【そのふたつに、なるべく自分の中でギャップが生じないようにはしたかったな。
新しい曲を書いたはいいけど、ライヴで歌ってみたら拙いところが発見された、みたいなことが、出来るだけないようにね(笑)。
でも、他のタイアップで、そういう機会があったから書けたものだからって、じゃあ新しいのは、純粋に自分の音楽性を突き詰めてやろう、みたいに、そんなふうにやってたら失敗していただろうね。
あと、曲順とかも、それによって聴こえ方が違うから考えた。
今の若い奴はシャッフルして聴いたりもするんだろうけど、このアルバムを第一楽章、第二楽章、第三楽章・・・みたいに、曲の流れに沿って楽しんでくれる人もいるだろうから】 
小貫音の印象としては、これまで小田が培ってきた、60年代モダン・フォーク的コーラス・ワークや、西海岸的フェージョン・テイストに加えて、70年代ロックを彷彿させる部分もある。
自らが構成した『風のようにうたが流れていた』というレギュラー番組で、あの時代の名曲を演奏し、そこから得たヒントもあってのことだろう。
特にアルバムのラスト“そして今も”は、クラプトンなどによって<レイドバック>という言葉が持て囃されていた頃を彷彿させる。
そこに<僕ら>のような、小田の圧倒的ヴォーカル・パフォーマンスが冴え渡る楽曲も同居している。
歌詞を絶妙なコード・ワークが支え、それぞれの楽曲の物語性もハッキリ伝わる。
ありきたりの表現ではあるが、ショート・ストーリーを連ねたオムニパス映画のような、または、秀逸な短編集のような、そんな出来ばえだと思う。
まもなくスタートするアリーナ・ツアーに向けても、大きな弾みになること確実だ。 
小田【でも、なにしろ今回は会場がデカい。
1万人の人達に納得してもらうためには、と考えるとね。
<どーもー!>って出て行けば、そりゃライヴは成立するだろうけど。
いま、色々考えているところです】 
小貫それにしても、このベテラン・アーティストの新作が<完結モード>とか<振り返りモード>など皆無の、さらにさらに歩んで行くんだという<中途な姿勢>すらを孕んでいることこそを、逞しく感じる。
そして小田和正の活動方針のなかに<相対性>という言葉がある限り、アーティストとしての彼の<誰か>や<何か>との触れ合いは続いていく。それがまた、新たな作品を産み落とす。
今年のJ-POPシーンを質の時代へと向かわせる、その<舵取り>ともなりそうな充実作の完成を祝いたい。


インタビューの全文を記載させて頂きました。
この記事を読んで、多少なりとも【そうかな】と言うアルバムのコンセプトが見えてきたように思えます。
アルバムのタイトルが発表になったとき、小田さんの思惑に『嵌められた?ハマッタ?』そんな事を感じたり、勝手な想像で『アインシュタインの相対性理論』と結びつけ、今年は『アインシュタイン100周年』の年に当たられるんで・・・そうかな?何て思い、又、記念の年と重ねて『アルバム&ツアー』も記念の年と言うことは、『最後のツアー?』と・・・何と勝手な想像をしてしまったのかと、恥じています。
少なくとも、このインタビュー記事を読む限り、小田さんは『フィールド』が違っても、必ず何かを伝えてくれると確信できました。
走り続ける小田さんと一緒に、ツアーの成功とアルバムのヒットを、心より応援し続け盛りあがりたいと思っています。

2005.6.11

0 件のコメント: